2019年07月09日

ダラー?

夢と現実、それをつなぐ装置としての脳。

その脳をめぐるお話。

影も影、ほとんど闇に近い世界に旅人がひとり彷徨っていた。

何かを探していたのか、何かを欲していたのか、何かを追っているのか、何かに追われているのか

もうながい間、ずっと前からわからなくなっていた。

頭は重く目はかすみもう歩けない。どこかで止まらないと。

はるか彼方にチラチラする光が見えた。光の中からは沢山の足音が響き、秒読みの声が聞こえてくる。

「ここは天国かそれとも地獄か。」思わず独り言が出た。

すると影がゆっくりとうごき爆音と煙の中からロケットが姿をあらわした。

どこからか声が響く「お急ぎください、時間です。」

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左から、塩谷智司、奥山ばらば、捩子ぴじん、渡邊達也。

夢へと旅立とうとするウサギは、その夢と現実をつなぐ装置を忘れてしまう。それを届けようとする遅刻した宇宙飛行士たち。

男たちはウサギを追って旅立つが、そこはすでにウサギの夢の中であった。

一方、忘れられた脳は、今や夢と現実の狭間をさまよい、また同じように夢と現実の狭間から永遠に出られなくなり彷徨っているハゲのアリスの手の中にある。

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奥が引き戸になっている舞台美術。上の写真は?

男たちは、脳を探していてアリスに出会い脳を手に入れるが脳を手にした男たちもまた、夢と現実の狭間にはまり込んでしまう。

男たちは、ウサギに追いつき時間機械によって現実へと戻ろうとするが、着いたところは南の島の女主人が支配するバナナ王国であった。

そこは一度入ると二度と出られない迷宮。

女主人に微生物に変えられてしまった男たちは、バナナを与えられ再び死への進化を始めるのだった。

旅人は自分から欲して異界へと旅に出た。

帰れるあてなどない旅だったが、帰還を果たせば旅人の人格を劇的に変化させる通過儀礼になるはずだった。

惰性で凝り固まった日常から非日常への指向、ありふれた生の中心部から生の辺境地への興味。

旅立つ理由は様々だが旅人は現実から非現実へ

日常から非日常へ 中心部から外側へ 此岸から彼岸へと旅立ち、ふたたび生還を果たさなければならない。

ばかばかしくも懐かしいこの現実へ。

面白きことなきこの世の中に面白く、面白きことなきこの世の中を面白く。

「そうして彼らは踊りながら家路についた。」

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時間が前後しますが、貴重な舞台写真が東京事務所で出てきたので二作目『ダラーの宇宙』について記しました。って俺は一体、誰に語りかけてるのだろう。photo by Kohji Fukunaga.
posted by Mukai Kumotaro & Duex Shrine at 06:45| ブログ?