2019年11月21日

また会おう

昨日は、松本に一泊してワークショップ開始まで余裕があったので、国宝松本城を拝見に。

現存する日本最古の城で戦国時代につくられたので、戦う気満々の城の内部と威風堂々の真っ黒な威容が素晴らしかった。

矢や鉄砲を撃つための穴“狭間”がいたるところにあり、石垣を登って来る敵に石を落とす“石落”まであって防衛のためのあれこれが考え尽くされていた。

『へうげもの』にもよく描かれていた、急な階段の数々が天守へと続く。

よじ登るように上がっていった天守からは松本が一望できて「ここで長野の山々を眺めながらお酒を飲んだら、さぞや気持ちが良いだろうなあ。」と想像。

平和な江戸時代に増築された月見櫓は途端に柔和な感じがして「ほっ」とした。

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ガイドの方が「この城郭と堀が二年で造られたなんて信じられない。」と言ってるのを小耳に挟んだけれど確かに。Photo by 国宝松本城 Web site.

城を出たら隣の松本市立博物館で面白そうな展示をやっていたので「まだ時間は大丈夫か。」と観覧。

菅江真澄という日本民俗学の祖のような人物の展覧会だった。民俗学といえば柳田國男と折口信夫が有名だがこういうパイオニアがいたのだな。

生涯をかけて日本中を旅して市井の人々から聞き書きして記録をした真澄を柳田國男は評価をしたが、そのいっぽうで名前を公に出すことはしなかったとか。

誰にも真似のできない真澄のような活動ではなく、全国の同志と協力し共同で研究をするスタイルで日本の民俗学を確立したいという柳田の思惑があったのだ。

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菅江真澄(すがえますみ)どうやってその地域に溶け込んだのか?歌人であった真澄は歌によっていつも馴染んだのだとか。Photo by Google.

そろそろ時間なので博物館をあとにして自転車で走ります。途中おやきを買おうとお土産屋さんへ入ったら骨董品も売っていたのでウロウロ、大日如来が売っていたので見せてもらいます。

都志の仏壇に本尊が欲しいけれど、こればかりは縁なので慎重になります。

つくりは丁寧だけど「うーん」、と隣に円空仏らしきものがあったので聞いたら本物だった。本物の円空仏を手にとって拝見。比べて見たら本物と偽物という感じだった。

円空仏なんて売ってるんだな。30万円以上してとても手が出ないのでおやきを買って退散します。

円空は報酬を求めずに仏像を彫ったはずだから、誰かがお金に困って売りに出したのか。それか盗品かもしれない。

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円空仏は子どもの遊び人形でもあった。Photo by Google.

とか考えながらまつもと市民芸術館へ。やる内容がいまいちハッキリしないけれど真面目になるな。ワークショップなんて遊び。遊びに行くのに考えることなんてない。

最初は真似をして盛り上げようかと思ったけれど、皆んなの様子を伺ったらそれぞれでストレッチをしているのでそのまま続けるように指示。

のんびりと20分ぐらいそれぞれの時間を過ごして、あらい君が腰が痛いというので整体を皆んなでやる。その後、ペアでマッサージ。

そろそろいいかと、はじめます。加藤直さんからの手紙を確認し、前回の映像を観ます。

そうして3人ずつで「これまでやってきたワークショップのすべてをぶち込んでやってみよう。」

皆んな遊び心と創意工夫に満ち満ちていて「なんでやねん。」と突っ込みたい愚行が随所にあった。スリリングな瞬間や「かっこいいなあ。」と思うような時もあった。

前回とは会場が違うので、その空間の違いや距離感も興味深かった。

「はっ」とするようないい瞬間に満ちていて、とても美しい瞬間が沢山ありました。何よりも明るく笑いに満ちていたのが嬉しかった。

楽しい時間は「あっ」という間に過ぎ去り終了。面白かったなあ。

「勘とセンス」by Akaji Maro. 

勘とセンスを磨いて、そうして踊りを磨くには人間を磨くしかない。

同じようにお芝居を磨くには、人間を磨かなければならないのだと思います。本を読んだり映画を観たり旅をしたり、旨いものを食べて美味しいお酒を飲んで、たまにはハメを外して馬鹿をやってみたり。

色んな人と会話して、喧嘩をしたり恋をしたり失恋したり。

お金のことは、持っている人に任せて・・・

「お互いもっと活躍して、必ずやまた会いましょう。」

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まつもと演劇工場NEXT第2期生、総勢9名。欠席、見尾田歩。
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2019年11月22日

切に願います

西東京市に戻ってきました。

しかし一週間ほどいたら都志に帰ります。庭の木を剪定して家の大掃除をして新年を迎える準備をしてから12月にまた東京に戻ってきます。

今回は、まつもとの帰りに少し立ち寄った。てな感じです。

西東京市は、のんびりしてていいです。

都会という感じがあんまりしない。広大な公園もあるし緑はまあまあ豊か。しかし都志や城崎に比べると灰色のコンクリートジャングルですが。

昨日は、湯山にホームページの更新を頼まれているけれど休み休み、家の片付け掃除をしました。

俺がいない間は、片親状態なのでワイフが仕事をしながら家事を完璧にこなすのは難しい。

世のシングルマザーやシングルファーザーは本当にたいへんです。想像しただけでへとへとになります。何かどこか誰かを犠牲にしないといけない。

ダスティン・ホフマン主演の『クレイマー・クレイマー』では家事まで手が回らず、子どもが大怪我をして会社を解雇されてた。観ながら「たいへんだなあ。」と思ったのを覚えている。

しかし考えてみたら、共働きも同じか。いや家事の分担はできるから片親よりは断然有利。

そういうたいへんな人たちの為に保育園をスタジオの近所につくったりする『スタジオジブリ』のような進んだところもあるけれどほんの一握り。

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スタジオジブリの保育園『三匹の熊の家』Photo by PHOTOZO.

女性が働くのは当たり前で子どもを産んでも働き続けるのも当たり前の時代になったけれど、それを受け入れる社会の態勢はまだまだ男性が考えた社会だったりする。

多様性を受け入れるためには、まずはその人の立場に立ってその仕組みから変えていかないと無理を強いられ、犠牲になる人が出て来るのです。

この社会は、前提に満ちている。

立って歩けるという前提でつくられた家。耳が聞こえて目が見えるという前提でつくられた街。男性が働くという前提でつくられた社会。

家に女性がいて家事をして、男が外へ出て働くということを前提につくられた社会の仕組みのあれこれ。

時代遅れで頭の固いハゲのおじいさん達が牛耳っているこの日本という国・・・困ったものです。

権力にぶら下がって疑うことをしない人々もいる。

驕りたかぶって、嘘を平気でついてそれを隠す人がこの国を率いている。そして、その人の足を引っ張ることしか考えていない人たちがいる。

愚かすぎる足の引っ張りあい、程度の低い誹謗中傷の応酬。

そんな醜い大人たちの姿を子どもは、しっかりと見ていますよ。

自分のことや、自分の家族のこと自分のまわりの人たちのことだけじゃなくて、この国すべての人のことを考える。そんなリーダーがあらわれてくる未来に期待をしよう。

その為には教育あるのみ。

世の大人はこの国の未来を背負うべき人物をつくっているのだと、しっかりと自覚を持って教育に励むべきです。前提を疑えるような頭の柔らかい子どもを育てていく。

他者の気持ちも考えられる、思いやりに満ちた人物に育てていく。

そうしてこの世界がもっと面白くなって、平和に暮らせる世界になっていくといいなあ。

切に願います。

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奥さん役はメリル・ストリープだったのか。Photo by Google.
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2019年11月23日

2度と来ない瞬間

昨日は『まつもと演劇工場NEXT』最終ワークショップの後遺症というか、先日のことをたまに思い出しながらニヤニヤ。

最後に成果発表ではないけれど、3人ずつのグループに分かれて発表をした。

なんでもありでルールはなし。

自己紹介というのも関係なくていいか。即興だから最初と最後も自分たちで決めよう。

トップの白鳥達也、荒井正樹、菅沼旭人のグループは30分以上続いた。けれど最後まで付き合おうと決心して止めなかった。

最初に、前回いなかった白鳥がお芝居に持ち込んで、しかし菅沼がかわして完全なお芝居には入っていかない。

慣れている感じがしたので「こういう不条理な即興芝居はよくやるのかな。」と思ったり。

菅沼がものを持ち出したのでそれをどう使うか興味を持って観ていたら、使いあぐねて戻しててもったいない。“物”はうまく使うと重要なアイテムになったりする。

前回までは保育園の狭い舞台をつかってやっていたので、急にだだっ広いスタジオになって距離感が変でそれがまた関係を可笑しくする。

荒井がゲラでよく笑うので、中途半端な等身大の笑いではなくて巨大な笑いの鋳型ぐらいに持っていくといいなあ。とメモ。

観ながら「一体全体なにをやってるんだろう?」と思うけれど舞踏は“愚行”を大切にするのでよし。

顔に落書きしたりするグダグダで悪フザケ的なスケールの小さな時間から、急に3人が広がって彫刻のような絵になり巨大なホワイトボードが雄大なスケールで回っている時がとても格好が良かった。

クライマックスだったな、本来ならあれで“暗転”。

けれど、そんなスイッチも用意もないのでそのあとも続いていく。何度も終われそうなのに誰も終わろうとしなくて「ハラハラ」手に汗を握った。

次の竹川絵美夏、堀田康平、木友葉のグループは1人1人があらわれるパターンでそれがなかなか展開していかないもどかしさが良かった。

公園で自己紹介の練習をしている女と、へんてこなダンスの練習をしている女。

そこへ怪しげな意味ありげな男が喋りながら近づいて行く。

その前の晩に一緒に飲んだら「お芝居だとやりやすいです。」的なことをつぶらな瞳で語っていた堀田が、芝居調で確かにしっくりときていて「なるほど。」

観ながら“伝わる、伝わらない”ということにも思いを馳せる。

特別支援学校でワークショップをやると、言葉以外のコミュニケーションがあるのを実感する。意味とか理解を超えた人と人の関わり。

最後はだんだん近づいていく堀田の姿でフェードアウト。

そのあとの展開も観てみたかったが、イメージをかきたてられた。答えを聞かない方が想像力は働くこともあるのです。

次の伊藤延子、葛岡由衣、志藤大造のグループは葛岡さんが終始、怒り気味で「なんで?」という行動を繰り返す。

大造の閃きと創意工夫が笑いを誘い、伊藤さんの忍者のような姿で行われるツッコミどころ満載の踊りで変てこに展開していく。

音を効果的につかって歌もあって盛り上がってよかった。

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まつもと演劇工場NEXT第2期生、バージョン違い写真。向雲太郎より時計回りに、竹川絵美夏、志藤大造、伊藤延子、菅沼旭人、荒井正樹、木友葉、白鳥達也、堀田康平、葛岡由衣。
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2019年11月24日

まつもと続き

「最近、また長くなってきてるで。」とワイフに言われたので「どきっ」

1200文字ぐらいが丁度いいのだけど、膨らませ過ぎるとすぐに1800文字とかいってしまう。なので二つに分割。

まつもとの続きです。

違う組み合わせでも観てみたいので、メンバーをじゃんけんでシャッフル。順番も任せて急いでトイレへ。

「さあ、もう一度遊ぶぞ。」

伊藤延子、荒井正樹、堀田康平のグループは最初へんな展開だったなあ。

荒井君が「今日は何の日だか知ってますか。」と言葉を口にするのを聞いて、言葉というのは意味がわかり易く強いぶん、説明になり易く気をつけないといけない。とメモ。

2人の男が絡んでいるところに伊藤さんが入ったら「懐かしい匂いがします。」「畳の匂いです。」とか言うので「失礼やろ。」と笑ったり。

伊藤さんは、結構なお歳の女性なのです。けれどそのあとも「物干しの匂いがします。」とか展開していくのでまあいいか。

終始仲がいい感じで「平和だなあ。」としみじみ。

次の葛岡由衣、竹川絵美夏、菅沼旭人の組では絵美夏が1人ではじまってそういえばさっきも1人ではじまってなかったっけ。何故だろう?

「坊さんが屁をこいた。」みたいな展開だけど、由衣がうごくのでうごいたらいけないルールではないのか?

終始、疑問に満ちてスリリングに展開していく。

旭人が銀色のカーテンの中に入ってかたちが次々と変わっていくのが観ていて飽きなかった。「人の前で面白くあるためにどうすればいいのか?」という舞台芸術の宿命を体現する典型。

要するにルックスが面白ければ、それで良かったりするのです。舞踏の得意技の白塗り、金塗り銀塗りはその命題へのひとつの答え。

カーテンの中で服を脱ぎはじめて「出ている足は生足のほうがいいなあ。」と思っていたのでナイス。絵美夏も入ったので由衣も入れ。と期待。

けれど由衣は幕を上げて旭人の脱いだ服を奪い取って床にぶちまける。その中にパンツも入っていて旭人ピンチ。

これは旭人、幕から出れないな。と思いどうなるか期待。「ぱっ」と出てきたらパンツを履いていてびっくり。

「驚かせてよ。」というのは観客の率直な欲望、期待を裏切り観る者の想像を常に超えていくのです。

絵美夏と由衣の微妙な掛け合いから、ラストは民話みたいになってほのぼのと終了。

最後の白鳥達也と志藤大造、木友葉組は白鳥のヘンテコなダンスでスタート。

友葉のちょっと気持ちの悪い白鳥に抱きつくという思い切った行動にはじまって、女性と男性という関係を最大限に使って皆んなを翻弄しつつ展開。

白鳥はゲイっぽいから、大造が抱きついてコメディータッチになったり。

友葉と大造の息のあった素敵な踊りがあって、練習でもしたんかと不思議に思う。

終始ヘンテコな踊りで皆んなを幻惑し続ける白鳥、ラストは何故かSFみたいになって想像力を刺激してくれた。銀色のカーテンに吸い込まれて行く3人・・・

楽しいけれど二度と戻って来ない、いまここで立ち上がった瞬間、瞬間の終わり。

舞踏でも芝居でもない“名付けられない”瞬間の出来上がりなのでした。

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体調不良で惜しくも欠席した見尾田歩。彼の変態性が加わったらまた違う展開が生まれていただろう。左、高木友葉。Photo by まつもと市民芸術館 Twitter.
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2019年11月25日

恨みと怒りと寛容

先日のGSOMIAがもめた原因は、戦時中の大日本帝国による徴用工問題にあるそうです。

戦争という敵も味方もなく老若男女すべての人を巻き込み、どうしようもなく犠牲を強いるもの。すべての不幸の原因“戦争”。

いつまでも消せない人間の恨み、怒り、許せない思いという厄介なものの原因“戦争”。

ローマからフランシスコ教皇がやってきて、長崎・広島を訪れて平和の祈りを捧げました。

「核兵器は持っても使ってもいけません。原子力は持っても使ってもいけません。」当たり前でシンプルな訴え。

世界平和をこころから祈る姿が印象的でした。

何故、子どもでもわかる“持っても使ってもいけないもの”がこの世界に存在するのか。理想と現実。嘘と真。矛盾に満ちた大人のやる不思議なこと。

湯山のお父さんは、物理化学者でまさに原子力について研究していたとか。人類のもつ知的好奇心からはじまった核開発、それに続く原子力開発。

物理科学者の責任ということについて、いまも考えつづけておられるようです。

核兵器の誕生は誰に責任があるのか?

E=mcの自乗というアインシュタインの閃きで生まれ、そのひとつの数式からはじまった核の力を解き放つ行為。

原因はこの数式なのだから、アインシュタインに責任があるのか。

二人の科学者の雑談からはじまった核の力を利用するアイデアだから、この二人に責任があるのか。

それを軍事利用することを思いついた軍人のせい、そのことを許した国家のせい。原爆をつくった人たちのせい、原爆を実際に落としたパイロットのせい、etc..etc...

原爆が日本に落ちる原因をつくってしまった、大日本帝国の軍人たちのせい。

大日本帝国の最高責任者だった昭和天皇の責任は?

そもそも人類というものが存在しなければ核なんて生まれなかったのだから、人類すべての責任なのだ・・・

責任の所在がいまも曖昧で、誰も責任をとろうとしない原爆の実戦投下。

人類史上はじめてとなる壮大なる実験だった広島・長崎への原爆実戦投下は、残念ながら大成功をおさめてしまった。

「これは使えるぞ。」

世界中の軍人が飛びついて、核開発競争をはじめる。いまもつづく核開発。困ったなあ。

核の傘なんていう不気味で呪われたものに守られている、世界で唯一原爆投下された国・日本の絶対矛盾。

罪は人にあるのではなく、戦争にあるのです。

小さなことでも戦争につながる芽は、いかなる理由や言い訳、大義名分があろうとも摘んでいかねばならない。

子どもたちの未来を守るため、その子どもたちへ永遠につながる命を守るために。

軍隊を持つために、大量の兵器を買わされるために、平和憲法の象徴『第9条』を変えることは何がなんでも阻止しなければならないのです。

恨まれ、怒られて謝るべきなのは、戦争であって戦争を起こした人々です。

そうして、どこかで怒りの連鎖は断ち切らねばならない。

許すという大切な行為。

寛容さはいま最も世界中に欠けていて、最も必要なこころだと思います。

寛容さの権化のような教皇が、核廃絶へ向けての象徴的な存在になっていくといいなあ。

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ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇は、バチカンを訪れていた南スーダンのサルバ・キール大統領と、反政府勢力を率いるリヤク・マシャール氏と会見し、ひざまずいて和平の願いを込めて両者の足にキスをした。スラムで育ち、若い頃はバーの用心棒をしていたとか。(c)AFP PHOTO / VATICAN MEDIA
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2019年11月26日

子どもの心に扉があるとすれば、その取っ手は内側にしかついていない

先日買いものにいき、ワイフの好きだという未来屋書店へ。

入り口付近で見つけた宮口幸治さんの書いた『ケーキの切れない非行少年たち』をタイトルにひかれて手にとって、興味深く立ち読み。

著者の宮口さんは、公立精神科病院に児童精神科医として勤務したあと、2009年から発達障害・知的障害を持つ非行少年が収容される医療少年院に6年間勤務していた。

授業をしている時に子どもがいうことを聞かない。

そっぽを向いて「こんなことやって意味あるんですか?」と聞いてくる。一人そういう子がいると周りに伝染して皆んなが言うことを聞かなくなる。

箱の中にみかんが入っている。

一つのみかんが腐りはじめると他のみかんもどんどん腐りはじめる。“腐ったみかんの方程式”としてテレビドラマ『金八先生』で有名になった話。

学級崩壊状態になりこんなに皆んなのことを考えているのにと著者は怒り「では君たちが自分でやってみろ。」と放任する。

そうしたら驚くべきことが起こった。

いままでいう事をまったく聞かなかくて無関心だった少年たちが、我先にと教壇に立とうとしはじめた。

それからは非行少年たちの態度が急変。毎回、熱心に話を聞くようになったという。自立心と自律心は人にとって大切なものなのです。

ワークショップでも受動的な時はなかなか発展しないし、能動的な態度とインタラクティブな関係でないとつまらない。

あらゆる方法を駆使してこころを能動的にさせる。

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等分できない子どもたち。『境界知能』というのだとか。小学校二年生で“サイン”は出はじめ、見落とすと犯罪を犯し社会不適合者として少年院へと入れられてしまう。Photo by Google.

さて12月はワークショップが二つあります。東洋大学は人数が多いのでどうするか?考えないと。

出発点をどこにするか?どこを目指すのか?一番伝えたいことは何か?たった2時間、されど2時間。濃密な忘れられない時間にしたい。

子どもたちのほうは、一緒に楽しく遊べばいいだけ。遊びの中でいろいろと学べたらいい。

そうして日曜日まで古巣『大駱駝艦』の天賦典式新作をやっていた。

小田直哉にチケットを申し込んだけれど、スケジュールが変わって行けなくなって残念。

けれどまつもとの帰りに急遽、東京へ寄ることになったのにチケットを取り直すのをすっかり忘れてた。いまそういえばと調べたら終わっていて「ショック」

写真をチラッと見たけれど面白そうだった。しかし巨匠、麿赤兒とその他の存在が徐々に離れて来ているように感じた。

麿さん、ひとりが巨人すぎるのだな。ナンバー2の村松ももっと頑張らねばならないけれど、集団の責任を負っている人とイチメンバーでは、気持ちの持ち方がまったく違うだろう。

我妻のほうが性別が違うぶん、背負わされている部分が大きいのか・・・単なる写真の印象です。

公演つながりで、11月28日(木)14時から振付をした『デフパペットシアター・ひとみ』の公演が県民共済みらいホールであります。

聾唖の人とそうではない人が一緒に活動する人形劇団。

その母体は、井上ひさし脚本で大ヒットした人形劇『ひょっこりひょうたん島』をやっていた劇団『ひとみ座』です。

演出の新鋭、立山ひろみさんとは、オペラシアターこんにゃく座の『おぐりとてるて』以来、2度目のお仕事でした。

今回上演される『河の童』は火野葦平が書いた『河童曼荼羅』が原作のお話しで不思議な面白さに溢れています。

ご用とお急ぎでない方は是非、ご覧くださいませ。

わたくしのほうは、東京から一路大阪へ。そこから川西へと寄って両親の顔を見て何かやることがあればやってから都志へ。

寒いぞー。

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ひとみ座ロビーにて、ドンガバチョの本物を持たせてもらう。
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2019年11月27日

日本酒について

昨日、川西へ行ったら「お前、30%の酒、全部飲んでもうたやろ。」と父親が怒り気味だったので「いやいや、このぐらいしかなかったで。」と酒飲み特有の言い訳をします。

旨かったので「くいくい」飲んでしまった。父親は半分は残ってたと主張。

しかし「全部飲んでしまえ。」と思ったぐらいなので2、3センチほどしか残ってなかったと思うけれど・・・

冷蔵庫を見たら珍しく日本酒がなかったので「それなら」と近所の酒屋へ走ります。

大吟醸を買おうかと思うけれど、あのレベルの酒となると値段もはるしなあ。とお洒落な黒いラベルの酒が目に入ります。

90いうて大きく書いてあるので何かと手に取ります。

磨き90%?ほとんど磨いていないということか。30%の酒を飲んで怒られたので90%の酒で応酬したらどうか。

面白そうなので買って帰ります。

ついでに“インドの青鬼”もゲット。インドの青鬼は長野のヤッホーブルーイングがつくっているIPAで、いままで飲んだ日本のIPAのなかではいちばん旨いです。

ただアルコール度数が7%もあるので、もう今日は酔っ払って寝るだけというときにしか飲みません。通常のビールは度数が5%前後です。

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たまに買うローソンでしか手に入らない『僕ビール、君ビール。』もヤッホーだった。Photo by ヤッホーブルーイング Web site.

帰って冷蔵庫に冷やして、風呂に入って晩飯を「頂きます。」

買ってきた日本酒を飲もうとしたら父親が「90%!」と驚きます。いやいや90%磨いたのではなくて10%しか磨いてないということ。

納得した父親が一口飲んで「なんやこれ。」と渋い顔。

「舌を刺すな。酸っぱい。これは親父やったら飲まんな。」親父というのは父方の祖父のことで、伊丹にある日本酒メーカー『白雪』の番頭さんでした。

酒屋の番頭だから酒にはうるさかったんだろうなあ。白雪の番頭さんの息子なので父も酒には厳しい。

「これはカンザやな。」“カンザ”というのは燗冷ましのことで、お燗してそのままになった酒のこと。要するにまずい酒。ひどい言われようです。

一口飲んだだけだと酸味がフルーティーな感じがして、たぶん言われないとわからずに飲んでたかも。つくった人もカンザのことは知らないでしょう。

川西に来るたびに日本酒を持参して父親の感想を聞くのが楽しみです。

いままでの感想としては、辛い酒が好きだと聞いたのでお店で一番辛いのを買ってきたら「この酒は辛すぎる。旨みは甘みや。」

山形の大吟醸を買ってきたら「これは無理して大吟醸にしとるな。」

「東北の酒は気が高い。」は、よく聞く。

ひとくち含んで、よーく味わって「もひとつやな。」は数しれず。その中でも「剣菱は旨いな。」と唸っててさすが老舗の名酒。

福井の九頭龍のお燗をすると旨いという珍しい大吟醸を持っていった時は、一口飲んで俺も飲もうとしたら「ちょっと待て、残しとけ。」と言い出してよっぽど旨かったんやな。

そんな父親ですが最近は八海山の純米吟醸を愛飲しています。

一番好きなのは白雪の『伊丹諸白』という酒のようです。

複雑な味わいですが、伊丹諸白はまだ俺には難しいです。

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麹造りと清酒の仕込みの両方、つまり麹米ともろみの掛米の両方に精白米を使うことから名付けられた「諸白仕込み(もろはくじこみ)」。清酒発祥の地・伊丹で誕生しました。ひょうご北摂ツーリズムガイド Web siteより。
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2019年11月28日

船旅の思い出

父親と母親も元気そうなので良かった。と、安心して都志へ。

瀬戸大橋を渡る時に大きなフェリーが下を通って行くのを見て「ああ、また船旅がしたいなあ。」と心から思った。

子どもの頃は、明石から淡路島へと船で渡っていた。30分足らずだったと思うけれど、非日常的でとっても楽しみにしていました。

船が岸壁にゆっくりと横づけされると、くわえ煙草の日に焼けた悪そうなおじさんがロープを投げて結わえる。

「板子一枚下は地獄」と言われるけれど、グラグラのはしけを渡って乗り込むのがドキドキして楽しかった。

父と行く時はフェリーだった。

大きな船の後ろが開いて車がどんどん吸い込まれていくのを飽きずに観ていた。船乗りに成りたかった父が、船長室をいつまでも眺めている背中を覚えている。

船旅は、潮風を浴びたり隣をイルカが泳いでいたり、対岸の景色を眺めたり風情があって旅気分が盛り上がるのです。

橋を通って、気付いたら海を渡っているとかもったいない。

明石大橋と瀬戸大橋ができて確かに便利になったけれど淡路島は、本州と四国をつなぐ単なる通り道になってしまった。

残念。

一昨年かな、鉄割アルバトロスケットで長崎にいったときの帰りもフェリーだった。

演出のミサヲさんと制作というかマネージャーのような松島さんと三人で、乗る前にビールとか日本酒とか酎ハイとかワインとか買って、おつまみも大量に買って準備万端いざ。と乗り込んだ。

だだっ広い雑魚寝の大部屋だけど、客がミサヲさんと俺しかいなくて一人一角みたいな贅沢な使い方をして可笑しかった。

中に売店もあってカレーかラーメンか何か食べたのかな。

夕方、外で松島さんと飲んでたら海に落ちていく夕日がめちゃめちゃ綺麗だった。

カップルの素敵な時間みたいな、いい雰囲気にどんどんなってきて「むむ。」

松島さんは、食いしん坊で面白いアンテナをお持ちで大木凡人みたいな眼鏡をかけたお姉さまですが、わたくし妻と子どもがおります。

「やばい。」と慌てて寝ているミサヲさんを呼びに行って、それから三人で落ち着いて楽しく飲みました。

風呂へ行ったらめちゃめちゃ揺れてて、風呂の湯がほとんどなくなってて面白かった。

朝早く目が覚めたので風呂へいったら今度は、波が穏やかなのでいい感じで巨大な窓から見える海と朝日が信じられないぐらいの絶景だったなあ。

大竹伸朗さんに会いに宇和島へ行った時もフェリーだった。

晴海の埠頭から乗ったのだったか。まるでホテルのような豪華客船でびっくり。部屋が狭くてでも少し料金を足せばグレードアップできるとかで、したら広い部屋で気ぶんがよかった。

大浴場に入り、レストランで生ビールを飲んだり部屋でご飯を食べたり、外でお酒を飲んだりしていい気持ちで眠ったのでした。

起きたらもう宇和島だった。

高知から地中美術館へと行くのも船でした。最後尾にいたら数羽のカモメが気流を上手につかいながら後をついて来るのが面白かった。

ああ、船旅がしたい。

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こちら『シンフォニー・オブ・ザ・シーズ』世界最大の豪華客船だって。5536名が乗船できて大劇場やアイスリンクまであるとか。カリブ海を走っている。俺がこれに乗ることは・・・なさそう。
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2019年11月29日

稽古場“淡路舞踏社”にて

都志へ戻ってきました。

まずは、雨戸を開けて水道の元栓を開け、ガスの元栓を開けて玄関の鍵を開けます。

「ただいま戻りました。」伽藍として誰もいない家に挨拶します。けれど宮崎駿さんも言っていたように家には何かがいるのだと思います。

それは真っ黒くろすけかもしれないし、座敷童かもしれない・・・座敷童だったら金持ちになるからいないか。蜘蛛は沢山います。

家の中の蜘蛛は「ぴょんぴょん」飛んでいく小さなやつですが、庭にはでかいのが蜘蛛の巣をはって獲物がかかるのをじっと待っています。

しじみ蝶が「ひらひら」と可愛く飛んでいるけれど、蜘蛛の巣にひっかかったら一巻の終わり「気をつけろ。」

インターネットという蜘蛛の巣には有象無象の顔の見えない大人が餌食を求めて「じっと」待っているので、本当に気をつけないといけません。

特に子どもが餌食になるのは大人が防がないといけないのです。Twitterは16禁、Facebookは18禁にしなければなりません。

Facebookなんてもともと男子学生が女学生の顔や容姿を品評するためにはじめたもの。出発点が不純なんです。そこには下心しかなかった。

男女の出会いをつくるための会員制インターネットサイト"Facebook"。そんなもんに子どもがアクセスできてはいかんでしょう。

最初は「実際に会ったことのある人としかつながってはいけない。」という暗黙のルールがあったように思うけれど途中で曖昧になり、いまは完全になくなってしまった。

その点、LINEは連絡ツールとして特化しているのでいいのです。けれどもたまに外部から「知り合いですか?」と尋ねて来ることがあるのでLINEも子どもは気をつけたほうがいいかも。

そんなLINEで仕事の依頼がきました。

自分のやっているなりわいで必要とされるのはありがたいことです。富山のオーバルホールのエントランスで踊って欲しいとの依頼です。

15分のショウケースということなので宣伝のつもりでやります。まだまだ無名の弱小カンパニー『舞踏家集団デュ社』。Web siteをはやく充実させないとな。

英語のサイトも早急につくらねば・・・

富山は金粉ショウをご所望らしいので、どうするか。けれど室内なので火が使えない。

建一郎に音楽をつけてもらって湯山とこのあいだの『舞踏?レクチャーパフォーマンス』の踊りを白塗りでやるか。しかしあの踊りには銀塗りが似合いそうだな。

とかとか色々と想像がふくらみます。

午後は12月のライブの稽古をします。ここ淡路舞踏社は稽古場です。日本には劇場は要らないから稽古場がもっともっと欲しいのです。作品を創る場所“稽古場”。

肝心の中身をつくるところが、日本には必要。

18時には稽古を終えて、夜の勤行をします。西東京でもやってましたが、仏壇がないのでなんちゃってです。一応、弘法大師の御真影はお祀りしています。

都志は立派な仏壇があるので気合が入ります。庭に咲いていた椿を活け、ロウソクを立てて線香に火をつけます。伽羅という最高級の線香なのでいい香りです。

勤行が終わったら、さあ飲むぞ。今日は“カンザ”をやっつけよう。

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右:親父にカンザ呼ばわりされた酒。どう頑張っても全部飲みきれなかった・・・料理酒にしよう。左:建一郎の奥さま志帆から頂いた久保田の純米大吟醸で口直し。「旨し、ありがとう!」
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2019年11月30日

作業色々

昨日は4時半に目が覚めてでももう寝たいと思わなかったのでそのまま起きて歯磨き洗顔、前の日の洗い物をしてその後朝の勤行。

まだ暗いので仏壇のぼんぼりをつけると美しい。仏壇の中は立体曼荼羅になっています。

だんだんと日が照りだしたので、カーテンを開けて合宿の溜まっていた洗濯をする。山盛りのシーツを干したら庭の木の手入れをします。プルーンの木を刈り込みもう。

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プルーンの木に洗濯物を干す。

手が届くぐらいまでで低く刈り込んでいくけれど、刈った木を切り刻んでゴミとして捨てられるようにするのが一苦労。握力がなくなってきたので一服します。

音楽を聴きながら休憩。最近は"INSIDE AMERICA”の“CAN YOU FEEL IT SUPER STRUT Volume V"がヘビーローテーションです。

この音楽はいったいなんなんだろう?

レコードジャケットに何も書いてないしラベルは真っ白と真っ赤。ジャンルがまったくわかりませんがノリがよくてカッコがいいのです。

どこで買ったのかもまったく覚えていない。

聴きながら踊りの練習をします。ノリすぎず内燃する稽古です。12月のライブはどれぐらいやるのだろうか。

ドラムも全身をつかうけれど、踊りも全身をつかいます。でもペース配分なんて考えずに飛ばしていくぞ。

そのあとは室内の作業を少しやります。

いい火鉢が二つあるので一階と二階で使おうと配置。そういえば朝ドラが火鉢の話だったな。都志の火鉢もなかなかいいものです。

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昔はこの火鉢でカニを飼ったりしていた。

そのあとはお墓参りへ。

墓守も自分の大切な仕事です。高野槙をお供えしようかと思うけれど庭の椿にしようと閃く。椿を切って持っていきます。

木谷家は先先代が呉服屋で大成功をしていたので、お墓は結構大きくて石は高野山から持ってきてお坊さんも高野山から呼んで祈祷してもらったりしていたとか。

その隣にさらにでかいお墓があるのですが、すすきが生い茂りすっかり寂れてしまっています。誰もお墓参りもしないし墓守もいないのだな。

木谷家の墓に対抗するように真横にでかいお墓をつくってお金があった人だろうけれど栄枯盛衰。

椿をお供えしたらいい感じで掃除して線香をあげてお祈りして帰ります。お供えしてあった高野槙を捨てようとするけれど、まだ青々としているので庭に挿し木をしようと思いつく。

高野槙は長持ちしますが、高級なので毎度毎度お供えするのに庭に植わっていれば便利です。なので持ち帰ります。

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さあ、根付くか楽しみ。

一旦家に帰って高野槙を水につけて、そのあと海までいって庭に敷く石を拾います。

照子姉さんが「庭をぐるりと取り巻くように道をつくれたらいいのだけど。」と言ってたのでその理想を叶えるべく働いています。

庭をぐるりと取り巻くように石を敷き詰めるのです。この作業はまだまだはじまったばかり。のんびりやろう。

廊下の天井画も今年は書けなかった。来年だな。

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謎のヘビーローテーションアルバム。
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