2020年01月06日

電柱王国

東日本大震災の際に電柱や電線が瓦礫撤去の障害になった。

阪神・淡路大震災でも、倒れた約8000本の電柱が大問題になった。

倒壊した無数の電柱や切れた電線が障害となり、援助や復興への道を拒んだのだ。

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阪神淡路大震災で倒壊した電柱。Photo by 長谷川弘直

この電柱電線問題で記憶に新しいのは、去年の台風15号による長期にわたる千葉全域の停電だった。

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台風18号と電柱電線の被害で倉庫が倒壊し、 手前にあった電線に引っ掛かったあと電柱も倒れてしまった。 (和歌山県新宮市)

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風で飛んだ屋根が電線に引っ掛かり電柱が倒れた。(三重県津市)

作家で写真家の藤原新也さんは、現場に入って取材し「今回の停電問題は電柱電線の問題にほかならない。」とレポート。

しかし東京電力は「倒木が復旧の妨げになっている。」と電柱問題から人々の目を逸らすような発言に終始。

この倒木も電線に複雑に絡んでしまい、現場では気の遠くなるような作業の繰り返しだったとか。

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令和元年台風第15号による被害。ビニールハウスと電柱とが絡まり倒壊(千葉県船橋市)

先進国では無電柱化はほぼ達成されており、香港、シンガポール100%、台北96%、ソウル49%と近隣諸国でも進んでいる。

そんななか、東京はなんと8%(平成29年度国交省調べ)・・・貧しい発展途上国並み。

知っている限りだと横浜だけだな。「なんだか気持ちがいいなあ。」といつも思っていたら、ある日気づいた。「そうか電柱と電線がないんだ。」

自転車でも道を走りやすいだろうし、なにより景観的にいい。そして災害時の電柱電線障害の心配がない。

電柱が倒れることで道路が塞がり緊急車両の通行が遮断され、ライフラインが遮断される。

そのため通行可能なほとんどの道路では車両が集中し大渋滞が発生し、より復興が遅れる。

この問題が浮かび上がるたびに言われるのが「無電柱化は莫大な費用がかかる」

けれど日本よりずっと国内総生産の少ない国でも無電柱化を達成しているのだから、これは言い訳なのです。

しかも高コスト・長工期は無電柱化が公共工事という点を考慮に入れ、雇用や経済効果といったことを考えると逆にいいのです。

何故だ?言い訳をしてやる気がないのは・・・

全国30メートル間隔で立つ電柱は広告塔の役割を果たしている。

電力会社は別会社を設立して無数の広告代理店を通して莫大な利益を得ているのです。

いま日本には3300万本以上の電柱がある。調べたら一本4万円以上するので1兆3300億以上か。

「つまり電力会社は災害における障害物によって利益を得ている。」by 藤原新也

それが日本で無電柱化が進まない一つの理由ではないか?と藤原さんはレポートする。

千葉災害は電柱電線問題を浮かび上がらせたけれど、メディアはそれについてほとんど触れなかった。

「電力会社は関連企業をふくめ。莫大な広告費をメディアに投入しているからテレビなどでは、スポンサーの気分を損ねることができないので事実を報道できないのではないか。」とも藤原さんは書く。

そんななか、無電柱化して景観向上の実を上げた埼玉県の川越市では、観光客が倍増したとか。

そうだよな、国と電力会社がやらないなら各自治体ごとでうごいていけば良いのです。

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参照、Photo by NPO法人電線のない街づくり支援ネットワーク Web site. 参照:藤原新也連載“日々の一献” 生活クラブ発行『生活と自治』2019.11 NO.607
posted by Mukai Kumotaro & Duex Shrine at 10:35| ブログ?