さる8月25日、世界保健機構“WHO”は、ポリオウィルスのアフリカ大陸からの根絶を宣言。
アフリカで最後の流行国だったナイジェリアで、過去4年間に確認されず終息したと判断した。
いまも感染がつづくのは、アフガニスタンとパキスタンの2カ国となった。
ポリオは口から入るウィルスが神経を侵し麻痺させる非常に感染性の高い病気。5歳未満の子どもが感染しやすく、麻痺は一生残ることがあるという。“小児まひ”とも呼ばれる。
日本には6,500人以上の患者がいたが、ワクチンにより1980年の1人を最後に発症は1件も報告されていないそうです。
有史以来、人類を苦しめてきたポリオウィルス。
有効なワクチンが承認されたのは1955年のことで、開発者はジョナス・ソーク博士。
ソークはアメリカで英雄に数えられる。その理由は開発のための長年の努力はもちろん、ワクチンの特許を取得しなかった決断によるところが大きいそうです。
「特許は誰が持つことになるんですか」とのインタビュアーの質問に「それは皆さんのものだ。だって太陽に特許はないでしょう」と答えたとか。
ソークにつづき経口タイプのワクチンを開発した医学者、アルバート・セービンも特許を取得しなかった。
特許をとれば莫大な使用料が見込まれたが、2人とも個人的な利益よりも、ワクチンが世界中に広がることを望んだのでした。
いっぽうコロナウィルスのワクチン開発は、各国の競争に発展してきている。
利権や政治的な駆け引きに利用しようという意図がすけて見えてきてうんざりします。
過剰な需要欲求と、供給をめぐる過剰競争は“ワクチンナショナリズム”と呼ばれて、価格高騰のリスクを招く。
販売価格や特許使用量が高額になれば途上国にはワクチンがいき渡らなくなってしまう。WHOはワクチンの公平な配分を目指して、国際協調の努力をつづけているが難しいようです。
アメリカがWHOを信用していないということもあるし、国際組織としての限界が露呈したという話もある。
WHOはもともと「1国だけでは世界規模の保健問題を解決できない」と国連の専門機関として1948年に設立された。
「敵対する国同士でも保健分野の協力をつうじて信頼関係をつくり、そこからさらなる協調につながって欲しい」という思いもあるという。
このまま、WHOの信頼の失墜がつづき最大の資金拠出国であるアメリカが脱退すると、ポリオのワクチン接種活動も継続できなくなる可能性もあるとか。
理想が政治に利用されバラバラに分断していく。
太陽が平等にあまねく、みんなを照らすような世界になることを切に願います。
『太陽ウィルス』
参照・引用:2020年8月27日 東京新聞 | 2020年8月30日 毎日新聞 | Wikipedia.