『グリーンブック』を観ました。
なぜ観たいと思ったか忘れてましたが、監督がファレリー兄弟のお兄さんだったからでした。エンドロールを見て思い出した。
黒人差別のお話でしたがマイノリティーの問題を深刻になり過ぎずに、笑いに変えて考えさせるファレリー節がやっぱり光っていました。
主役のヴィゴ・モーテンセンってのがガサツなイタリア男を格好良く面白く演じてました。最初は差別的だけどだんだんと変化して行く。
実際は北欧の人で『ロード・オブ・ザ・リング』で人気が出たのだとか。観てないから知りませんが。
その頃はやせた色男ですが、今回は体重を20キロ増やしてのデニーロアプローチが功を奏してました。
孤高の黒人ピアニストをアカデミー賞俳優、マハーシャラ・アリが時に高貴に時に弱々しく好演していました。
左からマハーシャラ・アリ、ピーター・ファレリー監督、ヴィゴ・モーテンセン Photo by John Lamparski/WireImage.
1962年アリ演じる黒人の天才ピアニストが、差別渦巻くディープサウス・アメリカの南部へと旅をする物語でお供するのがモーテンセン演じるイタリア男。
何度も何度も差別をされるのを観ていると嫌になって頭にくるけれど、監督のピーター・ファレリーが言うように50年前と状況はまったく変わっていない。
変わっていないどころかトランプが差別を煽るから、分断問題はますます深くなる一方。
人間ってのは差別するのが大好きだから、まんまと乗せられてる。
ナチスドイツと同じやり方で、差別意識を利用して国民の心を他に向けさせる。恐ろしいぞ。日本の皆さんも気をつけましょう。
皮膚の色や外見なんてどうでもいい。一皮むけば皆んな同じ、ガイコツなのだ。
「差別なんてクソ食らえ!」グレイトフル・デッドやキース・リチャーズたちロックミュージシャンが、ガイコツをシンボルにしたり身に付けるのはそれが理由。
本当に大切なのは、皮膚の色や国籍や性別ではないのだよ。
いつまで経っても何故わからないのだろう?同じことをいつまで続けるのだろう?
弱いものいじめでしか自分を保てない人々がどんなところにもいつの時代にも、まだまだ沢山いる。
そして、その差別と闘い続ける人々もいっぽうでは沢山いる。
教育で世界を変えて行くしかないのだが、その教育も利用されてたりするので困ったもの。権力を監視し続けるしかない。
俳優の佐藤浩市さんが権力を揶揄したとか言質を取られてパッシングを受けてるようですが、同調圧力に屈して謝ったりしないで欲しい。
グリーンブックの主人公・トニーとシャーリーが差別に屈しなかったように、決して屈してはならないのです。
決して。
向雲太郎ソロ公演『アホとロマンの皮袋』より。Photo by bozzo.