2020年07月05日

息ができない

警察官に8分46秒にわたってひざで首をしめられて、母に救いをもとめながら亡くなっていく。

うつしだされた映像のその姿に、世界が衝撃をうけた殺人事件から1ヶ月がたちました。

全米でいろんなうごきがみられますが、そのうごきは多様化して混沌としてきているようです。

そんななか、人種差別抗議運動で広がっていることば『ブラック・ライヴズ・マター』をどう訳すか?と、翻訳家の柴田元幸さんがツィートした。

メディアの多くは 『黒人の命は大切』『黒人の命も重要』『黒人の命こそ大切』とか訳すけど、柴田さんは「物足りない」ともツイートしている。

多くの人が柴田さんの問いかけに反応する中、ピーターバラカンさんが、直接的な翻訳ではなく『黒人の命を軽く見るな』という訳語を紹介する投稿をしていたとか。

ことばは目にしていたけれど深く考えたことがなかったので、わが舞踏家集団デュ社の副代表、湯山大一郎に問いを投げかけてみました。

湯山は、高校の時に1年間のアメリカ留学をしていて差別の洗礼もうけている。大駱駝艦時代は師、麿赤兒の通訳をながくつとめていて、つねにネットをチェックしてる情報通でもある。

「難しいですねぇ・・・

物足りないっていうのが適切な表現ですね。僕も物足りなさを感じます。

“Matter“っていう言葉に直接当たる日本語がないんです。

ものすごく日常的な言葉で、強いて言うなら一番近いのは僕的には『あの仕事はちょっとコトだなぁ』とかって言うときの『コト』なんですよね。

『厄介』って言う意味もあるし、その裏に『簡単ではない』というニュアンスの敬意が含まれているというか。 逆に考えると解りやすいかなと。

”It doesn’t matter.”で『大したコトないよ』とか『気にしなくて良いよ』とか『(些細なことだから)ほっとけほっとけ』みたいな意味になって、これが“matter”が日常で使われるいちばんの表現です。

皆、めちゃめちゃ使います。

“not matter”の逆ということで、“matter”は『大したことないって思ってるかもしれないけど、大したことあるんだよ、ボケ!』くらいの強いニュアンスを含めることになるわけです。」

なるほど。

いままで重要視されてこなかった、黒人の命にかかわる問題について黒人みずからが声をあげて激しく抗議をしているということなのだな。

国の社会的な構造にまで入り込んでしまっている、差別や格差を解消できるのか?

その構造を利用してアメリカという国が、成り立っているところもあるという。国のもともとが、差別によってできているのです。

そして、その構造をなんとしても変えたくないひとも大勢いる。

差別することで保たれるアイデンティティー・・・

matter3.jpg
『#blacklivesmatter』

参照:2020年6月17日、24日 朝日新聞 | 2020年6月23日、27日 毎日新聞
posted by Mukai Kumotaro & Duex Shrine at 11:55| ブログ?