2020年07月29日

高価なおもちゃ

娘が図書館で借りてきた本を読みました。

東野圭吾著『天空の蜂』

盗んだ大型ヘリコプターで高速増殖原型炉に突っ込むと政府を脅迫するお話。

さすがは東野圭吾さん、荒唐無稽だけどありそうな物語に仕立てていた。そうしていろいろと原発について勉強になりました。

高速増殖炉のほかの原子炉との大きなちがいは燃料だそうです。一般の原子炉ではウラン235がつかわれる。

ウラン235は天然ウランのなかに0.7%しかふくまれていない。今後、必要量が確保できる保証がなくて、あと75年ほどで枯渇すると科学技術庁で試算されているとか。

莫大な税金をつかって多くの犠牲をだしてまで全国につくったものが、あと75年しかもたないのか・・・

高速増殖炉では燃料にプルトニウム239がつかわれる。

天然ウランの残りの99.3%は役に立たない物質だが、その物質が中性子を吸収したときに変化するのがプルトニウム239なのだそうです。

増殖炉とは燃料を燃やすと同時に、燃料を得ようとすることでまるで魔法のように燃料が増えつづける。科学技術庁の計算では、この方式をつかえば数千年は原子炉燃料に困らないはずだった。

“夢の原子炉”と呼ばれていた、高速増殖炉『もんじゅ』

1985年の着工から1兆円を超す税金が投じられ1994年にはじめて臨界に達したが、そこから今日まで実際に発電していた期間は延べ4カ月くらい。

事故でずっと止まっていて2010年にいったん再開したものの、わずか3カ月後にはまたトラブルを起こし、ずーっと止まっていた。

運転していなくても、1日に5500万円もの維持費がかかっていたので、展望もないのにつづけることができなくなった政府は廃炉を検討。

そうして2016年12月に廃炉が正式に決定した。

国を挙げて力を入れていたにもかかわらず、結果的にほとんど稼働しなかったのはなぜか。

「最大の理由は、やはり技術的な難しさですね。何が難しいかといえば、まず、高速の中性子を使うこと。

名称に“高速”とつくのはそのためなのですが、燃料が増殖するのは中性子が高速でぶつかって核分裂したときだけなので、高速増殖炉では中性子を減速させません。

エネルギーが強いためコントロールしにくく、暴走を招きやすいのです。」そう原子力資料情報室共同代表の伴英幸さんは語る。

もんじゅが廃炉になり、使用済み燃料から取り出したプルトニウムの利用先がなくなった。

そうして、1993年から約2兆9,500億円の費用をかけて、青森県六ケ所村に建設中の核燃料再処理工場も存在理由がなくなったのだそうです・・・

小説では国家権力に蜂のようなひと刺しを犯人は目論むが、犯行は失敗してしまう。

最後の脅迫状が届く。

「子どもは刺されてはじめて蜂の恐ろしさを知る。今度のことが教訓となることを祈る。」

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『ヘリコワスキー』

参照・引用:『天空の蜂』著者:東野圭吾 発行:講談社 | 生協パルシステムの情報メディア『KOKOKARA』
posted by Mukai Kumotaro & Duex Shrine at 11:41| ブログ?