2022年03月20日

戦争はつづくし苦役もつづく

西村賢太さんの『苦役列車』が本棚のいちばん端からでてくる。

そういえばこのあいだ亡くなられたのだった。

こんどは読めそうな気がしてしたへもっていく。最初にチャレンジしたときは文体がなんだかだれかの口調をまねてるかんじがしてとまっていたのだった。

西村さん、1967年うまれで同い年だった。そのせいか時代背景というか主人公がいきている世界がとっても共感できて身に沁みた。ハードボイルドなのだけど軟弱さが同居してて私小説とよぶにふさわしい作品だった。

日雇いで糊口をしのぎ四苦八苦している主人公のカンタはケンタでありケンジでもあるのだった。

いまもつらくきびしい人生はつづいているが、あのころのことがまざまざと脳裏によみがえった。

東京にでてきた20歳から40歳までは、いろんな嫌なアルバイト、きつい非正規雇用を経験した。主人公とおなじく冷凍のくそおもい荷物を一日中コンテナに積み込む作業は、いっしょになったおじさんの人間性の悪さもあいまっていまだに覚えている。

いちばんながくつとめたのは運送会社だったが、ここはいいひとがおおくてはたらきやすかった。さいしょは荷物がおもくて物流がおおくて家にかえるとバタンきゅー、すぐにつぎの朝になっていて音をあげそうになった。

しかしすぐにやめるやつばかりと聞いていたし、それを承知で使い捨てのようにきついことをやらせることもわかっていたので根性で出勤しつづけた。

アルバイトの必要な繁忙期がおわるとおちついて、慣れてきたことも手伝ってそのまま居座ってしまった。10年ちかくはお世話になったのか。

非正規雇用だからやめるときも退職金とかなにもなかったけれど気にしていなかった。

西村さんは芥川賞を受賞し、そんな世界から脱出したがじぶんはいまだに底辺に沈んだまま。

とほほ・・・

この社会からつまはじきにあい、いじけてしまったどうしようもないおとこが主人公なので西村さんもとっつきにくいかたかと思ったら、じっさいは紳士だったとか。

2022年2月4日、西村賢太さんは帰宅途中のタクシーの中で意識をうしない帰らぬひととなったそうです。

合掌。

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庭のプラムの花が咲いた。
posted by Mukai Kumotaro & Duex Shrine at 10:33| ブログ?