2022年03月31日

賞をとるというすばらしいごほうび

先日、拝見した映画『ドライブ・マイ・カー』がなんとアカデミー賞の国際長編映画賞を受賞。

新聞各紙も大騒ぎ、毎日新聞などは一面で報道。

映画はこういうことがあるから夢がある。

監督の濱口竜介さんは東京大学を卒業後に東京芸大大学院の映像研究科にすすんだという超エリート。作品も知的でむずかしかったけれど、あたまがいいのだな。いま先端の多言語演劇の手法を劇中劇でとりいれていたりと多様性にも目配りしていて、現代性と社会性も感じた。

映画をさいごまで観るのはひとのはなしを最後まで聞くのに似ているけれど、3時間近い地味な会話劇のアジア映画が白人至上主義でエンターテイメントの牙城、アカデミー賞を受賞するなんて時代は変化してきている。

しかしそれも運のうち。

「ほんとうに他人を見たいと望むなら、じぶん自身をふかくまっすぐに見つめるしかないんです」という原作者の村上春樹さんのことばを掘り下げていってひとつの作品にしたというだけあって、じぶんの内面を見つめつづける映画だった。

観ながらじぶんも「自身を見つめつづけている人生だなあ」としみじみ思う。順風満帆で忙しく生きていたらじぶん自身を見つめるひまなんてないのかもしれない。

時間をかけて準備できたのがよかったとのコメントを新聞で読んだけれど、映画はほんとうにつくるのに時間のかかる芸術。エンディングクレジットのスタッフの多さ、関係者の多さは舞台とくらべものにならない。

予算も桁ちがいで、それだけに賞を受賞するとかは最高の結果。それにより動員もまったくちがってくる。

最近、じぶんはそういう作品のつくりかたをしていないけれど、たしかに時間をかけてつくりこんだものは説得力がふかいものになる。

濱口監督はいちやくときのひと。「ここが到達点ではなく通過点であるといい」と口にして「とにかくいまは休みたい」だって。

いいなあ、大仕事をなしとげた人間の休息。

おめでとうございます。そして、おつかれさまでした。

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こちらもおつかれさまでした。またお会いしませう。三重県名張市『センサート・ギャラリー』にて。photo by Shiho

参照:2022年3月29日 毎日新聞、朝日新聞
posted by Mukai Kumotaro & Duex Shrine at 11:09| ブログ?