シアターカイへとついたら消毒、検温と厳重。
まえの組が稽古しているので、そーっと入ります。
高澤和歌子さんの番になったら30分しか待ち時間がないので、急ぎ足ですすめます。いちど通していい感じだったが彼女じしんが好き嫌いをはっきり持っておられて感心する。
そのあと全体のゲネプロがはじまったが、いちいち振付家とタイトルをアナウンスするので「それいるか」と思う。『神話をおどる』とか言われるとそういうふうにしかみえなくなる。
説明はなるべく少ないほうが観るものの想像力は刺激される。
通しを観ながらなんども「踊りっていいなあ」と感じる。いわゆる創作ダンスの発表会というやつだが、踊りたいという気持ちがびしびし伝わってきて楽しかった。
高澤さんの踊りはさすが本番、いままででいちばんよかった。
そのあとの若い女性4人組みのおどりを観ていたら涙がとまらなくて恥ずかしい。
最初に4人でたのしげに軽やかにユニゾンを踊ったら曲が転調して雰囲気が変わる。あきらかに不穏な空気がながれてみんな耳をふさぎはじめる。
戦争で犠牲になるのは子どもたちとそして女性。戦争をやるのは勝手だけど殺しあいはじぶんたちだけでやってくれ。
本番もやはり観ていて涙が止まらなくて困った。
ダンスマスターが肌の色が濃い感じの女の子で衣裳が赤と黄色とみどりでかっこよくて、だんだんほかのダンサーの衣裳も国旗にみえてくる。
彼女は本番後にアルビン・エイリーのTシャツを着ていた。アルビンさんは有名な黒人の振付家で日本に何度も来日している。
ほかにもおもしろい作品がたくさんあってびっくり、素敵なダンサーもたくさんいて淡路島に連れて帰りたくなった。
舞台は一期一会、その瞬間にそこにいないと体験できない再現不能な芸術。
ずーっと20年以上、公演の案内を頂いていたが、いったことはなかった。食わず嫌いで敬遠していた。今回の仕事で土方巽を生みだした舞踊というものをあらためて学ばせてもらった。
高澤さん、ありがとうございました。
『国旗のような』